2020年11月期日本茶輸出実績について

 新型コロナウイルス蔓延は留まるところを知らず、世界的に第二波、第三波に見舞われている国もあるように、容易に終息が見えない状況が続いている。

 厳しい環境の中、販売活動も行えないことは勿論にこと、世界経済そのものの破綻が懸念されるが、11月期の日本茶の輸出については以下の様に順調に伸びている。

【11月単月の結果】

 日本茶全体としては、金額で前年比128%、数量で106%と伸びている。
 米国、カナダ、英国、フランスでの増加が目覚ましく、全体を牽引している。
 特に「粉末状」の伸びが顕著で、数量、金額に大きく貢献しているが、コロナ対策として手軽に緑茶を摂取出来ることが増加の要因か?現地の需要状況を教えて頂きたい。
 注目すべきは、EU域及び中近東で伸びが著しい国が多く、日本茶として定着することを期待したい。

【1〜11月累計実績】

 全体では、数量で104%、金額で111%と順調な伸びを示している。
 ややもすると、「粉末状」の動向に注視しがちであるが、幸い、所謂「日本緑茶」も、数量で103%、金額で110%と健闘しており、日本茶が安定的に評価されつつあると感じさせる。
 上位30か国への輸出実績は、14,428,000千円と全体の99%を占め、その53%が米国への輸出である。米国の人口・民族多様性を考慮すると、将来的にも伸びる可能性は十分あると考えられるが、米国への一極集中だけではなく、他地域への拡大を図ることが重要と言える。
 又、「粉末状緑茶」の金額比は、昨年同期と同様、61%を占めるまでに成長しているが、最大の緑茶競合国である中国でも抹茶の大規模生産体制が整いつつあり、近い将来、「抹茶」での競争が激化することが明白である。
 「粉末状金額比」で「100%」を示している単価を見ると、それなりの単価になっており、「抹茶」であることが窺えるが、単価を追求するあまり、所謂「粉末茶」を輸出することは他の追随を許すことに繋がるだけに、早期に「日本抹茶」のブランド及び生産・流通体制を作り上げなければならない。
 昨年12月の輸出実績は1,456百万円であったが、世界的なコロナ禍の中、結果を待ちたいものである。


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●過去の輸出実績データについては、資料一覧ページをご覧ください。